2005年3月9日

日本の企業ですと、仮に休暇を申請していても、業務が忙しくなったり、急に用件が入ったりした場合には、「ちょっと休暇を先に延ばしてくれないか」などと上司に言われてしまうことがよくあります。ドイツの企業が面白い点は、日本と全く逆だということです。休暇を申請していた社員に、なにかの用件のために、休暇を延ばしたりあきらめたりするするよう、上司が求めるということは、めったにありません。むしろ逆で、多くの上司も、「休暇は神聖なものであり、むやみに触れてはならない」というコンセンサスを持っているようです。休暇を優先できるというのは、ドイツ社会の自由さ、個人の生活を尊重するメンタリティーを象徴しているように思われます。

その意味で、私が15年前まで働いていたNHKは、労働時間の長さで有名な所です。

私は8年間でNHKスペシャルを5本担当して取材に携わりましたが、なによりも苦痛なのは、放映直前にコメントを書いたり手直ししたりしなくてはならないことです。当然のことながら徹夜になることが多く、睡眠不足に弱い私には、朝5時ごろまで仕事をするのは楽ではありませんでした。深夜になってから、全面書き直しを求めるデスクなどもいて、さらに事態は複雑になってしまいます。特に眠くなると、頭の中が朦朧としてきて、コメントを考えるどころの話ではありません。現在、会社での仕事の後や週末に細々と書き物をしている私は、疲れたらすぐ横になれるので、性にあっています。

NHKの元プロデューサー磯野氏がだましとっていた額は、9900万円に達するとか。いったいどうすれば、これだけの金を引き出して、経理が気がつかないということが、ありうるのでしょうか。